神経管閉鎖不全症の予防に向けて
妊娠を希望される女性の皆さん、「葉酸」という栄養素をご存じでしょうか。
葉酸は、胎児の脳や脊髄といった中枢神経の形成に欠かせないビタミンの一種で、妊娠初期の胎児の健康に極めて重要な役割を担っています。
葉酸で予防できる先天異常
妊娠初期の胎児に起こる重篤な先天異常のひとつに「神経管閉鎖不全症」があります。
代表的なものには脊髄髄膜瘤や無脳症があり、これらは妊娠初期(特に妊娠4〜5週頃)に神経管がうまく閉じないことで発生します。 世界中の研究により、適切な葉酸摂取によって、これらの発症を約50%も抑制できることが明らかにされています。これは医学的に非常に重要な発見です。
日本の現状について
海外では葉酸サプリの積極的な推奨や政策導入により、神経管閉鎖不全症の発生率が大きく減少しました。しかし日本では残念ながら、その発症率が依然として増加傾向にあるのが現状です。
この現実を受け、日本小児神経外科学会をはじめとした多くの医学団体が、葉酸摂取の重要性を広く発信し、社会全体での啓発に取り組んでいます。
妊娠を考えはじめたら、今すぐ始めてほしいこと
葉酸の効果は「妊娠してから摂取すればよい」というものではありません。
妊娠に気づく前の時期、つまり受精直後から十分な量が体内にあることが予防の鍵となります。 厚生労働省では、妊娠を希望する女性に対し、1日400μg(マイクログラム)のモノグルタミン酸型葉酸サプリメントを、食事からの摂取とは別に摂ることを推奨しています。
未来の赤ちゃんを守るために
葉酸摂取は、未来のいのちを守るためにできる、もっともシンプルで効果的な準備のひとつです。
「まだ妊娠は考えていない」という方でも、妊娠の可能性がある年齢のすべての方にとって重要な情報といえるでしょう。
ひとりでも多くの方に、この大切な事実が届くことを願っています。
引き続き、女性の健康と未来を支えるクリニックとして、信頼される医療を提供してまいります。
新宿南口レディースクリニック 院長 市田 知之






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