初めに
妊娠高血圧腎症(PE)は、妊娠20週以降に発症する高血圧と臓器障害を特徴とし、重症化すると母体・胎児ともに命に関わるリスクが高まる疾患です。
約2%の妊婦に発症すると言われています。
特に妊娠37週未満で発症する早発型PEは重症化しやすく、早産・胎児発育不全・母体合併症の原因となります。
スクリーニングの対象
妊娠11週から13週の方
スクリーニングの方法
①妊婦さんの問診を行います。
②血圧計測 両腕でそれぞれ2回計測します
③超音波検査で子宮動脈の血液の流れ易さを計測します。
④採血検査で血清マーカー(PlGF)を測定します。
⑤上記の検査で得られた情報で妊娠高血圧腎症を発症する確率を計算します。結果は1/○○○という形で出されます。
⑥結果が1/100以上の確立となった場合、スクリーニング陽性と判定されます。
スクリーニング陽性となった場合
ヨーロッパで行われた大規模な研究では、このスクリーニング方法で陽性となった場合、アスピリンを妊娠16週より前から開始することで妊娠36週前に発症する妊娠高血圧腎症の発症を90%予防できることが示されました。
当院でも希望される妊婦様に、処方いたします。
予約に関して
妊娠高血圧腎症のスクリーニングのみ希望される方は、産科外来の予約をお取りください。出生前検査も希望される方は初期胎児超音波検査の予約をお取りください。
費用に関して
妊娠高血圧腎症のスクリーニングを行った場合の検査の費用は以下の通りになります。希望される検査に応じて、超音波検査や出生前検査の価格が加算されます。
また、以下に加えて初再診料、カウンセリング料が加わることがあります。
費用(税別) | |
---|---|
PEスクリーニングのみ | 18,000 |
妊婦健診時に実施 | 23,000 |
精密初期胎児ドックと一緒に実施 | 55,000 |
コンバインドと一緒に実施 | 75,000 |
NIPTと一緒に実施 | 140,000 |
最後に
現在の妊娠管理において、多くの妊娠合併症は妊娠後期に発症するということ、そして、それらの合併症は予測をすることができないと考えられていることから、妊娠初期よりも妊娠後期でより多くの妊婦健診が予定されています。
当院ではFetal Medicine Foundationの創始者である、Prof. Kypros Nicolaidesが提唱しています、Turning the pyramid of careを実践しています。
より早期に妊娠中に起こり得る合併症や胎児の状態を評価することで早期から専門家のケアや予防を行うことが可能となります。





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